スイフトスポーツ ハイカム装着作業の紹介です。

★スイフトスポーツ ハイカム装着★ 

 

まずはハイカムの交換作業から。
スイフトのエンジンはタイミングベルトではなく
チェーンになっています。
最近のエンジンはほとんどチェーンになってますね。

10万キロごとの交換は必要ないのですが
作業性の面では困ったことも起こります。
今回もそのひとつ!
カムを交換するのにエンジンを降ろさないとだめなんです。
それは何故かと言いますと・・・

 

ご覧のとおりエンジンとフレームとの間が狭くて
作業ができないんですよね〜。

カムを交換するためにはチェーンも外す必要があります。
チェーンを外すにはフロントカバーを外さないと・・・
車載状態だとそのフロントカバーが外せないんですよね〜。

仮に外せたとしても狭い空間でチェーンを掛ける作業を
することになるので、掛け間違いなどの
ミスに繋がる可能性が出てきちゃうんですよ。

今回はクラッチ関係のパーツ交換もありますので
ミッションごとエンジンを降ろすことにしました。

 

降ろしたエンジンです。
まずはインマニなどの補機類を外します。
このあたりの作業は降ろしているのでとってもラクです。

 

タペットカバーを外すとカムが出てきます。
この状態ではまだチェーンが掛かってますので
カムを外すことはできません。

 

フロントカバーを外した状態です。
もちろんオイルパンも外していますよ。

 

インテーク側のスプロケットにはバルブタイミングを
自動で切り替えるVVT機構のユニットが付いています。
このユニットはハイカムに付け替えてやります。

エキゾースト側はカムとスプロケが固定されています。
おそらく焼き嵌めか何かだと思うのですが
スプロケットだけを外すことは出来ないようになっています。
これだとバルタイ調整は全く不可能ですね。

 

カムホルダーを外せばカムが取り外せます。

 

まだ新しいクルマなのでヘッドの上面もキレイですね。
オイル交換をサボってた古いクルマになると
ここがまっ茶色になっているんですよね〜。
中にはコールタールのようなドロドロがたっぷり溜まってるような
ヒドイのもあったりします・・・

 

いよいよハイカムのお出ましです。
エキゾースト側のスプロケットは調整式になっています。

それにしても最近のエンジンは
カム山の幅がかなり狭くなっていますよね〜。
4A−Gと比べると半分ぐらいの幅しかありません。
接触面を少なくしてフリクションロスを減らそうってことなんでしょう。

でも、狭くなった分は材質とかを上げておかないと
強度や耐久性に問題が出てくるでしょうね。

 

カム山の比較です。

純正カムが尖った形の山になっているのに対して
ハイカムは頂上付近が丸くなっているのがわかりますか?
この部分がカムプロフィールの違いになるんです。

頂上付近が丸いと言うことは、バルブが大きく開いている時間が
長くなっていると言うことなんですよね。
全開になっている時間が長ければ
空気の出入りする量も多くなるっていうことです。

「ハイカム」って言葉を聞くとカムの山が高くなっているように思えますが
純正カムとほとんど変わらないんです。
高さを変えてしまうとバルブのリフト量が変わってしまうので
ノーマルのバルブ機構のままじゃ無理なんですよね。

中にはハイリフトカムっていう物もありますが
これを使うためにはスプリングの長さやら、リフターの形状やら
といったバルブ機構全体を見直す必要があります。
そのためほとんどはレース用のカムですね。

 

ハイカムをヘッドに固定して・・・

 

チェーンを掛けます。
ここでクランクの位置とIN・EXのカムそれぞれの位置を
間違ってしまうと大変なことになります。
エンジン降ろさないでやると、ここでミスが出そうですね。

タイミングベルトになる前のエンジンもチェーンでしたが
そのころのチェーンとは構造が変わってますね。
昔のはまるで自転車のチェーンのような構造でしたが
最近のはより目のつんだ強度の高いタイプになってますね。

 

そしてタペット調整です。
まずはシクネスゲージで全部のすき間を測ります。
そしてシムの厚さを変えて調整です。

 

入っていたシムの厚さを測ってクリアランスの数値から
新しいシムの厚さを計算するのですが、
シムの厚みの設定が0.025mm飛びなので
微妙に会わない箇所がでてきます。

そういった場合には、実測すると微妙に厚い・薄いがありますので
それらをうまいこと組み合わせて調整します。

 

お次はバルタイの調整です。
インテーク側はVVTが付いているので調整できません。
エキゾースト側は純正カムだと無理なんですが、
トラスト製はスライド式のスプロケットになっているのでOKです。

説明書によるとスプロケとカムのマークを合わせれば
設計上のバルタイになるってことなんですが・・・
実測してみると微妙にズレでます。
もちろんキッチリと合わせてやりましたよ!

 

 

フロントカバーを取り付けます。
オイルパイプとかの補機類も忘れずに。

 

タペットカバーを付けたら終了です。
でもこの構造だとバルタイを調整するだけでも
エンジンを降ろさないと無理っぽいですね〜。
ハチロクのように簡単にセッティング変更ってわけにはいきませんな。

まあ、今回キッチリと設計バルタイに合わせてやってますので
変更する必要性もないでしょうけど・・・

 

直接作業とは関係の無い写真です。
エンジンを降ろしたついでなんで
ポート形状とかも覗いてみました。

最近の新世代エンジンのポート形状は
バルブに向かって真っ直ぐになっています。
もちろんこのエンジンもポートの入口から真っ直ぐで
バルブが丸見えになっています。

昔のエンジンは横から入ってきて
バルブの近くで湾曲した形状のポートでした。
真っ直ぐのほうが効率がいいっていうのは
考えてみれば当たり前のことですね・・・

 

続いてはオマケのクラッチ作業です。

 

まずはレリーズベアリング。
ベアリングに嵌まっているカラーが純正はプラスチックなんです。

矢印の黒い部分がそのプラスチックカラーです。
強化クラッチなどにするとコレが割れることがあるそうで
金属製の強化カラーに交換します。

そう言えばこのクルマってレリーズシリンダーのシャフトも
プラスチックだったよな〜。
こういう細かい部分でコストダウンしてるんでしょうか?
でも、スポーツグレードなんだから
もうちょっと強度面とかを考えて欲しいですよね。

 

続いてはレリーズフォーク。
こちらも強化クラッチにすると折れることがあるそうで
付け根の部分を強化した物に交換です。
まあ、さすがにコレは元々金属製でしたが・・・

 

フォークとベアリングを交換して終了です。
社外の強化品を使うとどこかに無理が掛かるっていうのは
このクルマに限ったことではありません。
スカイラインやシルビアでも強化クラッチにすると
ピボットが折れるってトラブルがありました。

 

さて続いてはスーパーチャージャー編です。
オイルクーラーやらの追加パーツも同時に装着です!