NSXタイミングベルト交換&メンテナンス作業の紹介です。

★タイミングベルト交換&メンテナンス★
分解・洗浄篇


タイミングベルトは10万kmごとに交換しなければいけないのは
みなさんご存知の事と思います。
NSXがいくら高級車だといっても例外ではありません。

よく「タイミングベルトが切れると・・・」と言いますが、
実際には10万kmを過ぎたからすぐに切れるということも少ないんです。
ある意味では区切りとなるキリのいい走行距離ですから、
ベルト交換と一緒に少し踏み込んだメンテナンスをするには
ちょうど良いタイミングだとは思います。

一般のクルマでは一緒に交換する部品として
テンショナーやアイドラー、ウォーターポンプ等が多いですね。
これに加えてカムやクランクのオイルシール、ファンベルトといった辺りでしょうか。
一緒にやっておけば別々にやるより工賃の節約になりますからね。

NSXではこのプラスαの作業がかなり大がかりになるんです。
それは何故かと言いますと・・・
タイミングベルトを交換するのにエンジンを降ろさないといけないんです。

 
せっかくエンジンを降ろすわけですから、
日ごろメンテできないアレやらコレやらも一緒にやろうって事になりますよね。
そのアレコレがかなり多岐にわたっており、
結果的にかなりの部品点数になっちゃうんですよね。

NSXはミッドシップですのでかなり作業性が悪いんです。
そのため日ごろのメンテでそのアレコレをやろうとするとかなりの工賃が発生します。
そこでエンジン降ろしたタイミングで一度に全部片付けようってパターンです。

まとめてやっちゃいますんでトータル金額はけっこう膨らみます。
それでも1個1個別々にやっていく合計よりはかなり安い!
なのでこのパターンが定番化しちゃってるんですよ。

10万kmという区切りでエンジン廻りがリフレッシュするっていうのも
気持イイですしね!






 

ボディーの程度もけっこう良い状態を保ってます。
やはりNSXに乗る方はクルマに愛情を持って付き合っているんでしょうね。







 

タイミングベルトを交換するのにエンジンを降ろさなきゃいけない理由がコレ!
タイベルカバーのすぐ横にフレームがいるんです。
おかげで作業スペースはほとんどありませんね。

こんな狭い場所でやってるとトラブルの元になりますね。
なにしろNSXはV6レイアウトのエンジンですから、
ベルトがメチャクチャ長いんですよ!
それをこの狭い空間でコマずれ無くかけるのは至難の業です。
正確な作業をするには降ろさないとダメなんですよね。







 

 運転席側にはエンジンルーム冷却用のファンが付いています。
今回オーナーさんのご希望で撤去することになりました。
なんでも後期型には付いていないそうで、
元々あまり必要の無い過剰なパーツだったみたいですね。







 

ファンを撤去するとガランとした空間が。
中央に見える穴はボディーのサイドダクトに繋がっています。
走行中はここからエンジンルームに風が入ってきます。
ファンが無いほうが抵抗が少なくってイイのかもしれませんね。

エンジンを降ろすのに室内のCPUからの配線を抜き取る必要があるんですが
ファンが無くなってスペースができたので、作業がラクになりました。(笑







 

さあ、エンジンが降りましたよ!
NSXのエンジンはサブフレームに固定されています。
サブフレームには足廻りのアームやブレーキも付いていますので
一緒に降ろしました。
この後の作業はこの状態のままでやっていきます。
そのほうが安定感があるので安心して作業できますからね。

 今回サブフレームを載せる専用の台車を作ってみました。
使わなくなった古いタイヤラックを加工した物なんです。
キャスターが付いていますんで移動も自由自在!
なんせウチのピットは狭いですから、
こんなデカイ物が鎮座してると他の作業がやりにくいんですよ。
広い場所に移動してやれば作業効率もアップしますしね。







 

エンジンを降ろす理由の一つにコレもあります。
10万kmですのでエンジンの各部がオイル等でかなり汚れています。







 

本来の作業に取り掛かる前に徹底的に洗浄してやります。
これはエンジン搭載状態だと限界があります。
降ろしたからこそできる内容の作業だと思いますよ。







 

ブロック廻りもご覧のとおり。
かなりのオイル汚れやホコリが堆積しています。







 

洗浄後はキレイになりました。







 

キレイになってると思っていても・・・







 

カバーを外すとまだまだ汚れが・・・







 

どうですか?バッチリ汚れが落ちました!







 

インマニを外した状態です。
ブロックの上部には枯れ葉が・・・(笑







 

もちろんここもキレイに洗浄です!







 

インマニも分解します。内部はかなりオイルがベッタリですね〜。







 

洗浄後はこうなります。
う〜ん、見ていても気持ちがイイですね〜〜。







 

スロットルボディーもキレイになりました。







 

アイドルコントロールバルブ等もキレイにして、
パッキンやフィルターを新品に換えます。
矢印の先にあるのがカーボンで真っ黒になってる外したフィルターです。







 

EGRポートからはカーボンがザックザック!(笑







 

各部がキレイになったらインマニを組上げておきます。







 

他にもスプールバルブ等の補機類を洗浄してパッキンを換えます。
本体の作業に掛る前にこうやって補機類の準備をしておくと、
組み付け作業に入った時に効率がいいんです。







 

エンジン廻り以外にも交換部品があります。
それは水廻りのホース類です。
ラジエターのホースは当然の事ながらその他にも・・・

NSXは後部にエンジンがありますが、ラジエターは前にあるんです。
なのでボディーの底面を前から後まで冷却水が流れています。
今回はここのホースも交換しました。







 

さらにヒーターホースも!
ここまで換えておけば水廻りは完璧ですね。







 

外したついでにスターターも簡易オーバーホール!
バラバラにして洗浄とグリスアップ!!







 

アーマチュアコイルのブラシと接触している部分は
けっこう焼けて汚れています。
ここもキレイに磨いておきます。







 

スターターが組上がりました。







 

インテークのポートも汚れてますね。
まあ、カーボンは付いていないので、まだマシなほうですかね。







 

今回ヘッドはバラしていないので、完全洗浄はできませんが
可能なかぎりキレイにしておきました。







 

補機類の作業が終わったので、いよいよ本体に取り掛かります。
まずはタペットカバーを外して・・・
内部の汚れはさほどでもありませんね。
日ごろのオイル管理が良かったんでしょう。







 

ヘッド内部もキレイです。
ヒドイ時は茶色を通り越して真っ黒になってるクルマもありますから。







 

さあ、タイミングベルトが出てきました。
前後バンクに2個ずつあるプーリーとクランクが1本のベルトで繋がってます。







 

ベルトの張りを出しているテンションプーリーです。
中のベアリングが逝っちゃてて、ガタが出ていました。
もちろん新品に交換します。







 

ベルトの張りはユルユルでした。
おそらくベルトが伸びちゃっているんでしょうね。

右下に写っているクランクのタイミングプーリーがサビていますね。
何でこんなとこがサビているのかは、また後で説明します。
 






 

うわ〜〜、なんかオカルト映画っぽくなってますね〜!(笑
これはクランク角センサーなんですが、熱で樹脂が溶けて流れ出ています。
これもNSXの持病の一つです。
こんな状態でもちゃんと作動はしているんですが、新品に交換です。






カバーやプーリーも外します。

 





カムホルダーを外すとカムが外れる状態に。
ここまでバラすんだからカムシールも当然ながら交換です。

 





で、カムを外すとロッカーアームが見えてきました。
えっ、何でここまでバラす必要があるのか? って??
その答えは後篇をご覧ください!

それにしてもここまでやるとなると、タイベル交換のついでなのか、
こっちのついでにタイベル交換なのか、わかんなくなっちゃいますね!(笑