ワゴンR K6Aエンジン オーバーホール作業の紹介です。

★K6Aエンジン オーバーホール★ 
分解編



この車はタービンを換えたりしてそれなりにパワーアップ
しているんですが、オーナーさんによると
最近パワーが落ちてきたらしいんです。
特に低速域がトルクが無く遅いとの事。

距離だけでなくそういった面もオーバーホールを
決意した理由のひとつなんです。
まあ、ある程度乗ってるとピストンリングもヘタってくるので
圧縮が抜けてトルクが無くなるのも不思議ではない。
そんなエンジンでも高回転になればターボの過給圧で
トルクが盛り上がってくるんですよねえ。

ドッカンターボって言うほどじゃないけど
過給が掛かる前と後のトルクの差が大きくて乗りにくいらしい。
そりゃそうかも・・・

元のトルクを取り戻すためのオーバーホールに加えて
吹けあがりを良くするための
フリクションロス低減加工もやってやることになりました。
 
当店お得意!NAエンジンでおなじみの
「純正パーツ使用のファインチューン」ってヤツですよ!
レスポンスを良くする作業っていうのは
基本的にNAエンジンもターボエンジンも同じですから・・・

純正部品が揃った ところで作業開始です。





まずはエンジンを降ろしてやります。
普通車に比べれば重量は軽いのですが
エンジンルームが狭いので思ったよりも手間がかかります。





タービンやINマニ等の補機類を外します。
このエンジンもシリンダーブロックはアルミです。
最近はオールアルミが当たり前ですよね。
それどころかINマニがプラスチックって車もいますもんねえ。





タペットカバーを外すとカムが顔を出します。
このエンジンはタイミングベルトでは無くチェーンです。





フロントカバーを外すとチェーンがマル見えになります。
昔のエンジンはほとんどチェーンだったのですが
7〜80年代頃からタイミングベルトになりだしました。
そして最近はまたチェーンに戻りはじめています。

10万キロごとに交換しないといけないタイミングベルトと違って
チェーンだと定期的な交換は必要ないんですが
オイル交換をさぼっているとチェーンテンショナーが固着して
ガラガラと音が出始めちゃうんですよねえ。
ベルトとチェーンのどっちがイイんですかね?





 わりあいマメにオイル交換はしていたはずなんだけど
タペットカバーやフロントカバーのウラ側には
けっこうスラッジが溜まっています。





このエンジンはなんとカムとプーリーが一体型になっています。
年式によっては別体式もあるようなんですが
ほとんどがこのタイプになっているみたいです。
おそらく焼きバメになっているんでしょうけど
この方式だとバルタイの調整は不可能ですよねえ。





ヘッドガスケットは純正品でメタルです。
最近メタルガスケットのエンジンが増えてきました。





さ〜て外したヘッドのチェックです。





燃焼室にはさほどカーボンは溜まっていませんねえ。
まあ、カブリ気味だったわけでも無いし
オイル消費をしていたわけでも無いから当然かもしれませんが・・・

それにしてもEXバルブの白さはスゴイ!
やっぱしターボエンジンの熱量はスゴイんだなと実感!
NAだとなかなかここまでの色にはなりませんからねえ。





バルブを外した状態です。
さすがにEXのポートはカーボンが溜まってます。
と、言ってもオイル消費をしていたキャロルに比べれば
カワイイもんなんですけど・・・





バルブ本体の状態です。
IN側は当り面に虫喰いもなくわりとキレイ。
EX側は傘部分の真っ白けっけです。





ピストンヘッドのカーボンもまあまあボチボチといったカンジ。





外してみるとさすがにサイド部分にはカーボンがびっしり。
ピストンサイドのスレ具合もまあまあですかね。
今回はピストンが再使用なのでここがけっこうスレてると
マズイことになっちゃいますから・・・





コンロッドメタルの状態は距離相応ってカンジです。
まあメタル類は新品交換するので状態が悪くても関係無いんですが
キャロルのようにメタルが逝ってると
シリンダーの磨耗とかに影響が出ちゃいますからね。





で、肝心のシリンダーです。
若干の磨耗痕はありますが、まあセーフでしょう。
今回はオーバーサイズピストンは使わないので
シリンダーのボーリングもしませんから。





このエンジンはブロックが上下に2分割になっています。
下の部分はクランクキャップを兼ねているんです。
アルミブロックなので強度を考えているんでしょうね。





クランクメタルもけっこうキレイ。
こちらも新品に換えるので関係無いんですけど・・・





洗浄する前にブロックのボルト穴にタップを立てておきます。
けっこう汚れが溜まっていたりするんですよ。
ネジが傷んでいたりゴミを噛んだりすると
組付けのときにちゃんとしたトルクが掛けれなくなるんです。
重要な箇所ですので後々のトラブル防止の作業です。





どうです?けっこう出てるでしょ。
この作業は当然ながら上下両面やります。
上面はヘッドボルトが入る穴ですし
下面はクランクキャップを兼ねているブロック下部分が来ますんで。
どちらもトルク管理が重要な部分ですからね。

さて続いては加工編です。
レスポンスアップチューンですから、加工するパーツも多いんです!