AW11フロント廻りジョイント類交換作業の紹介です。

★AW11ジョイント類交換★

車が古くなってくるといろんなところにガタがでてきます。
足廻りも例外ではなくあれこれトラブルが発生します。
ショックの抜け・サスのへたり・ブッシュのへたり
ハブベアリングのガタなど等・・・
少しずつ変化するので体感できない物もあれば
振動などの症状が出る物もあります。

今回のAW11の場合は高速域での振動です。
それも大きくブレるのではなく
細かい振動がハンドルに伝わってくるという
けっこう微妙な症状なんです。

  ローダウンはしてあるもののさほど低くはなく
ショック・サスともにわりと新しいとのこと。
ブッシュ類も新品に交換してあります。
ホイールは社外品ですがハブリングも装着済。

こうなるとあとはハブベアリングぐらいしかないのですが
手で触ってチェックしたかぎりではガタも無い!
「う〜ん、こりゃ原因特定が難しいゾ!!」
オーナーさんと相談の結果、可能性のある部分は
全て変えてみようということになりました。
ハブベアリングはもちろんのこと、
フロント廻りのボールジョイントも全交換です。





ハブベアリングを交換するにはナックルASSYを車輌から
外す必要があるので、まずはキャリパー・ローターを取り外します。





AW11は独特のキャンバー調整機構が付いています。
ストラット下部のボルトを緩めて、矢印の先にある部品を
上下に回すことでキャンバーが変化します。





この部品はナックルの穴にはまっているだけの
簡単な構造になっているのですが、なにしろ車が古いので
サビや汚れで固着してしまい動かなくなっているものがけっこうあります。
アライメント調整をする時には、センサーをセットする前に
あらかじめバラして潤滑スプレーを噴いておきます。





ナックルに入る部分が偏芯カムのような形状になっているので
 この部品を回すことによって、ナックルが動いて
キャンバーが変化する仕組みになっています。
ただ実際の調整作業ではタイヤが付いた状態で
動かさないとダメなので、非常にやりにくいです!!
最近の車はロアアームの付け根にあるボルトに偏芯カムが
付いているものが多いので、調整しやすくなっています。





まずはナックルからハブを取り外します。
ハブ自体はウラからナットで固定されているのですが
ナットを緩めても油圧プレスがないとまず抜けません。





続いてハブベアリングを抜き取ります。
こちらもプレスじゃないと無理ですね。





新品のベアリングをナックルに圧入します。





オイルシールを打ち込みます。

 



ハブも新品交換です。
さほど高価なものではないので、ハブベアリングを換える時には
セットで交換しましょう。
もちろんプレスで圧入です。

 



ナットを締めてハブを固定します。
廻り止めのカシメをして、ハブベアリング交換終了です。
FF車の場合はドライブシャフトがあるのでナックルを
車輌に取り付けてからナットを締めるようになりますね。

 



このボールジョイントはロアアームとナックルを
つなぐ部分についています。
どこの部分が影響しているのかが、はっきりしていないので
ボールジョイント関係は全て交換します。

 



続いてはステアリングのギアボックスです。
奥まったところにあるので車上だと作業性が悪い!

 



ギアボックスをASSYで車輌から取り外します。
フレームなどが邪魔して下には出てこないので
タイヤハウスに抜き取るようなかたちで外しました。

 



ステアリングのラックエンドという部分です。
ステアリング関係の部品のなかでは、わりあいガタがでやすい部品ですね。
止まっている状態でステアリングを軽く左右に揺すった時に
「コクコク」といったガタが有る場合、この部分の可能性が高いです。

 



廻り止めワッシャーのツメをおこして緩めます。
ラック自体に無理な力をかけないように注意して・・・

 



新品のラックエンドを締めこんでワッシャーで廻り止め。
もちろんワッシャーも新品交換ですよ!

 



ギアボックスボディのラバーブッシュも交換です。
せっかく外したんだから再使用じゃあね・・・
あとから交換するのはけっこうたいへんだしね。

 



タイロッドエンドも交換です。
ゴムブーツのツブれ具合からみて、中のグリスはかなり減ってるみたい。
これで交換作業は全て終了!
あとはアライメントを調整して完成です。


で、作業の効果のほうはと言いますと・・・
ステアリングのブレはキレイに消えました!!
オーナーさんも大喜びです。
ディーラーからも「原因不明です。」と見放され
半分あきらめかけていたので喜びもひとしおです。
ガタがでていた部分は点検では発見できなかったけど
ボールジョイント全交換で結果オーライでした。
やはり古い車をきちんと走らせるためには
こういった余分と思える作業も必要になってきますね。