NSX LSD クロスミッション 装着作業の紹介です。

★OS製LSD装着&純正部品使用クロスMT★


まいどおなじみS社長のNSX、どうも最近ミッションの
入りが悪くなってきたようです。
特に3・4速が入りにくいらしい。
それじゃあということでオーバーホールをすることに・・・

どうせやるならついでにイロイロやっちゃおうということで。
まずはLSDの装着です。
NSXはノーマルでもLSDが入っているんだけど
効き具合が物足らないようです。
純正品はそんなにイニシャルトルクも高くないでしょうから
ごもっともな不満ですよね。
どこのLSDにするか検討した結果OS技研に決定!
(他メーカーはあまり出てないというウワサも・・・)
OS製はファイナルギアも4.4に変わります。
現状、タイプR用のファイナルに交換してあるのですが
さらに加速重視のギア比になりますねえ。

次にミッションのギア比です。
S社長のNSXはアキュラなので国内仕様とはギア比が違います。
2・3・4速が巡航仕様のギア比になっており、
1・5速とリバースが共通です。
つまり、国内用と比べると1>2が広く、
4>5がつまっていることになります。
そこで3・4速を国内用に交換すれば2〜4速のギア比が
縮まってクロスミッションになるという寸法です。
鈴鹿サーキットとかだと4>5がつまっているアキュラのまま
のほうがいいかもしれませんが、SさんはTIサーキットオンリー
なので下のギアをつめることに決定!

反対に国内仕様のNSXにアキュラの2速を組めば、
同じクロスギアになるのですが。
なんとNSXの2速ギアはメインシャフトに直切りなんです。
カウンターシャフト側はギアだけ交換できますが、
メインシャフトも交換しないといけないので割高になります。

今回もベアリングやシンクロリングは迷わず交換の豪華仕様です。
パーツが揃ったところで作業開始です。

ミッションを降ろす作業は省略して
本体の作業のみ紹介します。



さあ、本体が降りました。
バラシ作業の始まり始まり〜。





ミッション本体にはシリアルナンバーの入った
ステッカーが貼ってあります。
国内用NA1の100系は頭のナンバーが「J4A3」だから
国内用では無いことがこの番号でわかります。





ミッションケースを外すとこんな状態です。
まずはリバースギア関係を取り外し、メインシャフトと
カウンターシャフトをシフトのリンクごと抜き取ります。





ミッションのギアを取り外すとデフが丸見えになります。
デフはクラッチケースにはまっているだけなので簡単に外れます。





ケースにはまっているマグネットを外してみると・・・
金属粉がいっぱい付いていました。
入りにくいミッションを無理やりシフトしていた影響が
こういったところに現れていますねえ。





取り外したノーマルデフです。
リングギアとサイドベアリングは使わないんですが、
メーターのドライブギアは再使用するのでデフから外します。
このギアは単体で部品としての設定がありません。
デフケースとセットで2万円ぐらいするので、
脱着の時に壊さないよう慎重に作業をします。





ノーマルとOS製を並べてみました。
左がノーマルで右がOSです。





これがOSのスーパーロックLSDです。
NSX用はファイナルも変わるのでリングギアはあらかじめ
デフケースに組んであります。





OSのデフはカバー部分にイニシャルトルク等の値が
数字で記載されているので仕様がすぐわかります。





OSデフにサイドベアリングを圧入します。
もちろんベアリングは新品です。





ベアリングとメーターギアをセットして準備完了。





説明書ではリングギアとオイルポンプのカバーが干渉するので
加工するようにとの指示がありましたが、このミッションでは
クリアランスがあったので加工はしませんでした。
個体差があるのか、製品が仕様変更になっているのかまでは
わかりませんけど。





オイルポンプのギアもキットの物に交換します。
左側がノーマルです。
シャフトが圧入になっているのでプレスで抜き替えます。





この時いっきに奥までいれないで、リングギアとの位置関係を
確認しながら少しずつ入れていきます。





位置出しができてセットするとこんな感じです。

さあお次はミッションのギア関係です。





まずはメインシャフトのギアをばらしました。
メインシャフトにギアが3つ直切りしてあるのがわかりますか?
左から「2速」・「リバース」・「1速」のギアです。
2速のギア比を変える場合はこのシャフトも交換します。





入りの悪かった3速ギアのチェックです。
シンクロが噛み合う部分のギアは若干荒れているものの
さほどひどい状態でもないようです。
シンクロリングのギアもそうでもなさそう。
まあ、両方とも交換するから傷んでいても関係ないんだけどね。





こちらは4速ギア。
これもさほどではなさそうです。
4速も両方交換するので関係ありません。





交換するメインシャフトの3速ギアの比較です。
左がノーマルのアキュラ用で右が国内仕様です。





こうやって並べるとギアの大きさの違いがよくわかります。
こちらも右側が国内仕様のギアです。
メインシャフトのギアは駆動する側になりますので、
加速重視の国内用のほうが小径のギアになります。





次は4速ギアです。
これも左がノーマルのアキュラ用で右が国内仕様です。





3速に比べて外径差が少ないのですが、こうやって
並べればやはり大きさの違いがわかります。





ギアやベアリング等を交換して、組みあがったメインシャフト。
上に並べてあるパーツが今回交換した物です。





続いてカウンターシャフトのバラシに取り掛かります。





バラバラになったノーマルのカウンターシャフトです。
カウンターのほうはギアやベアリングだけでなく、
シャフト自体も交換します。(ファイナルが変わるため。)





OSのカウンターシャフトにはロゴマークとファイナルの
ギア比(4.400)の刻印がしてあります。





ノーマルとの比較です。
上がノーマル品、下がOSです。
ファイナル部分のギアの切り方が全然違います。





ギア部分のアップです。
左がノーマル、右がOSです。
OSのギアは歯の角度が緩く、歯自体の厚みがかなり
厚くなっています。
ギアの強度もかなりアップしているのでしょうね。





こうやって並べると歯の厚みの違いがよくわかります。





カウンターの3速ギアの比較です。
左が国内仕様で、右がアキュラ用です。





カウンターのギアは駆動されるほうになるので、
国内用のギアが大きくなります。





同じくカウンターの4速ギアの比較です。
左が国内仕様で、右がアキュラ用です。





カウンターのギアも3速に比べて、4速のほうが
違いが少ないです。(あたりまえですけど・・・)





カウンターシャフトにギアやベアリングをはめ込んでいきます。
が、ここで問題発生!
3速ギアのスプラインがシャフトのスプラインと、
合わなくてギア自体が入らない!!
通常圧入のスプラインでも、ギアを回しているとスプラインが
合ったところで、「クッ」っと手ごたえがあるものなのですが、
今回はその手ごたえすらありません。
このままだとプレスにかけても、スプラインが合ってない状態で
押し込んでしまいスプラインを傷めてしまうことにもなりかねない。
ギア自体はどちらも純正品なので、スプラインが違うとは
考えにくいので、シャフトのほうをチェックすることに・・・

わかりました!
OSと純正のスプラインの違いが!





OSのシャフトは純正品よりスプラインの歯が厚く、
かなりキツメに作ってあるようです。
しかもスプラインの始まり部分の角度もきつくなっています。
だから最初の手ごたえもなかったようです。
始まり部分を少し削って角度を若干滑らかに加工してやりました。
この加工で最初の手ごたえがでたので、あとはプレスで圧入です。





無事に組みあがったカウンターシャフトです。
上が今回交換したカウンター関係の部品です。





組みあがったメインシャフトとカウンターシャフトを、
ケースにセットします。
あとはカバーを組付けて完成です。





反対から見るとこんなかんじです。

今回作業内容の全てを撮影していた訳ではないので、
ところどころ省略した内容にはなっていますが、重要なポイントは
載せてあります。
また純正品とOS品の違い、国内用とアキュラの違いの部分は
できるだけ載せてみました。

装着後のインプレッションは・・・
やはりファイナルの変更は大きかったようで、かなりの加速力アップに
オーナーも驚いています。
2>3速のクロス化も感じいいらしく、シフトアップ時にV-TECが
かかったままの回転落ちになるようで、加速のタイムラグが
ほとんど無いとのことです。

サーキットでの感想は、LSDの効果もかなり大きいようで
オーナー大満足でした。
ただ、ストレート終盤ではやはり4>5速の開きが大きくなったため、
ややもたつく感じがあるようです。
そのデメリットを補ってもあまりあるぐらい、下のギアでのつながりの良さと、
加速感が良くなっているとのことです。
特にTIサーキットのインフィールド区間では、車が今までとは
全然別物の加速・動きをするようです。

OSのLSDにはノーマルファイナルの設定もあったようですが、
やはり4.4ファイナルをチョイスしたほうが、加速もかなり良くなって
オススメのようです。
サーキットは走らないストリート派の方でも、この加速力は
魅力的だと思いますよ。