NSX ファイナルギア クラッチ 装着作業の紹介です。

★OS製4.6ファイナル&ST-Rクラッチ装着★


まいどおなじみS社長のARf8710NSX。
前回4.4ファイナルとLSDを装着して
アキュラと国内用のギアをミックスしてクロスMTにしています。

2〜3速のつながりはバツグンにいいのですが・・・
サーキットでのタイムが上がってきたせいか
4〜5速のつながりや、5速での加速に不満が出てきました。

4〜5速のギア比が離れているもんですから
バックストレートで5速に入れても加速しないようなんです。

そんな不満をゴチャゴチャ言っている時に
なんとベストタイミング!
OS技研から4.642のファイナルギアが発売になりました。
数量限定の商品とのことなのでさっそく注文しました!
ファイナルが変わることで5速でも加速するようになるでしょう。

ところがミッションが今のままのギア比だと
4〜5速のつながりは悪いままです。
あれこれと検討した結果、ギア比をアキュラのノーマルに
戻してやることにしました。
 
現状はアキュラの2速に国内用の3・4速という組み合わせ。
(1・5速はアキュラ・国内ともに共通です。)
3・4速が2速よりになっており、2〜4速のクロスレシオです。

S社長の希望を満たすには、3・4速をアキュラに戻して
3〜5速のクロスにしてやらないといけないんですよね。
ただしこのギア比だと2〜3速が広がってしまいますが
その辺はガマンガマン!
純正パーツの組み合わせなんだから限界がありますよね。
全てを求めようとすると6速にするしか・・・

ファイナルとギア比の変更により各ギアでのトップスピードはこうなります。
(あくまでも計算上ですが)

       4.4+2〜4速クロス   4.6+アキュラ
速         71km         67km   
速        126km        119km
速        155km        167km
速        210km        213km
速        281km        267km

8000rpmまで引っ張った時の各ギアの回転落ちは・・・

       4.4+2〜4速クロス   4.6+アキュラ
        6485rpm         5698rpm
        5903rpm         6289rpm
        5971rpm         6378rpm
と、いったかんじになります。

シフトアップ時の回転数からも3〜5速が
クロスレシオになるのがわかります。

今回ノーマルのアキュラMTをS社長が段取りしてきたので
OHもいっしょにやることになりました。
作業の内容は前回と変わらないので、
今回だけの特別な部分を中心にご紹介します。


 

年式が古いだけあって、けっこう汚れています。
う〜ん中の程度が心配だなあ。



 

まずはメインシャフトから作業にかかります。



 

 基本的にはギアは交換しないんですが
ベアリングやシンクロ・ハブスリーブ等を交換するので
とりあえず一旦バラバラにします。



 

ギアは交換しないはずだったのに・・・
2速のギアがキズまみれです!
矢印の先にあるようなキズが何枚もの歯にいっぱいありました。
2速のギアはメインシャフトに直切りなもんですから
シャフトASSYで交換しないといけません。
アキュラ用の部品ってすぐに入荷するのかなあ?



 

3速用のギアもスリーブが噛み合う部分のギアが磨耗しています。
けっこうハードに使われてていたミッションのようですねえ。
まだ使えそうではあるんですが、後から「*速が入りにくい」とか
「シフトが抜ける」とか言われても困るので、
怪しい部分は思い切って交換しちゃいます。
このギアもアキュラ用だから入荷が心配。

  ところが、さすがホンダさん!
アキュラ用の部品もちゃんと国内に在庫してるんですねえ。
2日ほどで部品はそろっちゃいました。



 

結局シャフトにギアにスリーブに・・・
ほとんどの部品を新品にすることになってしまいました。



 

各ギア間のすき間を測定しながら組み込んでいきます。



 

メインシャフト組み込み完了。
さすがに新品部品を多用しているので見た目がキレイ!
組んだらみえないんですけどね。



 

続いてはカウンターシャフト。
OSのロゴと「4.642」のギア比が刻印されています。



 

ピニオンギア部分の比較です。
純正品に比べてかなり小さいのがよくわかります。



 

前回4.4ファイナルの時にはめ込みで苦労したスプラインですが、
改良されているように見えたのですが
3速ギアをあててみるとやっぱり入らない・・・
そこで今回も加工してやりました。



 

カウンター側の2速ギアもスリーブがはまる部分が磨耗しています。
入りにくいシフトをけっこうガリガリやってたんですかねえ。
もちろん新品交換です。



 

カウンター側の新品部品です。
3・4・5速のギアはキズや磨耗が無かったので
再使用することになりました。



 

こちらもクリアランスをチェックしながらの
組み付けをしてやります。
ギア等の交換部品が多いのでここは慎重に。



 

カウンターシャフトの組み付け完了です。

さあ、続いてデフの作業です。



 

専用のリングギアが組み込まれた状態で入荷してきた
OS技研のスーパーロックLSDです。
サイドベアリングを圧入後ケースに仮組みして
クリアランスやプレロードをチェックします。



 

説明書に指示はあったものの前回は必要なかった
オイルポンプ部とのクリアランス確保。
今回はギア比が変わったのでかなりキツキツです。
リングギアが結構大きくなっているんですかね。



 

リングギアが当たりそうな部分をリューターで削ります。
もちろん削ったあとは洗浄を忘れずに。



 

これぐらいクリアランスがでればOKでしょう。
ケースはあまり肉厚が無いので削りすぎに注意!



 

オイルポンプギアは位置を確認しながら
シャフトに圧入していきます。



 

メインシャフトのスラストクリアランスも調整してやります。
シャフト自体を交換しなければあまり狂うことは無いようなのですが、
今回はシャフトを変えてますから必須課目ですね。
このシムの厚みを変えて調整してやります。



 

直定規とゲージを使って寸法を測って計算する方法もあるのですが
なかなか計算どうりにはいかないんです。
ダイヤルゲージでクリアランスの数値を直に測って
基準値との誤差でシム圧を増減したほうが簡単に調整できますね。



 

カウンターシャフトの位置決めをするスナップリングも交換します。
たったこれだけの部品ですが、このリングにトラブルが出ると
カウンターシャフトが動いてしまってたいへんなことに・・・



 

ひと通り測定・調整が終わると、いよいよ本組みです。
まずはデフをクラッチケースにセットして。



 

各シャフトやシフトフォークを組み込みます。
NSXのミッションは1本づつ順番に組み込むことはできないんです。
まずはケースの外でメイン・カウンターシャフトを組合せて、
さらにシフトフォークもセットして「せ〜の!」でケースにはめ込みます。
シフトフォークのシャフトは3本もあるので
きちんと全部をはめるにはちょっとしたコツが必要ですね。

後はミッションケースをかぶせて、補機類を付ければ完成です。



 

クラッチも今回は新品にします。
今までカーボンシングル・メタルツインと試してきたS社長がチョイスしたのは
発売されたばかりの「OS技研 ST−Rツインプレート」!
これでデフも「OS」クラッチも「OS」になりましたね。



 

たまたまころがってた ノーマルとの比較です。
見た目のかっこよさが違うのは当然ですが・・・
フライホイールまでセットした状態で一番の違いは重量です。
ST−Rクラッチはとにかく軽い!



 

それもそのはず厚みがこんなに違うんですよ。
フライホイール自体の重量も軽いですが
これだけ厚みが違えば軽量なのも当然ですね。
ハイパワーに対応しているのにこれだけコンパクトに作れるってところが
「OS技研」さんのスゴイとこなんですよねえ〜!



 

ST−Rツインの構成部品です。
なんといってもルビー色のカバーがかっちょい〜。
でも組んだら見えないんですけど・・・



 

ディスクには順番を間違えないようにマジックで番号が書いてあります。
組み付ける時にはスリットの位置を合せて組みます。



 

エンジンにセットした状態です。
う〜ん、見えなくなるのが惜しいような色合いだよな〜。



 

NSXの純正クラッチはPULLタイプなのですが
ST−RクラッチはPUSHタイプになります。
そこで専用の作動変更パーツをミッションに組み付けます。
レリーズベアリングやフォークをキットの物に交換します。



 

レリーズシリンダーも専用品です。
今までのOS製作動変更パーツは調整式だったので、
定期的なクラッチの遊び調整が必要でした。
ところが今回は調整不要の自動調整タイプに変わっていました。
これはあとあとラクなのでハナマルのポイントですね。
ミッションを載せた後エア抜きをして作業完了です。

ST−Rクラッチの「ウリ」は乗りやすさなんですが、
実際に乗ってみてマジでビックリ。
「これって本当にメタルのツイン?」ってぐらいに乗りやすいんですよ。
ペダルの軽さなんか純正レベルですよ。
(もしかしたら純正よりも軽いかも・・・)
つながりもメタル特有のガツンとしたかんじもなく、
チューニングカーに慣れてない女の子でも全然OKレベル!
いや〜、技術の進歩ってすごいよな〜。
 


さあ、気になるサーキットインプレッションです。
3・4速は「加速タイプ」から「延びタイプ」になったことで
かなり使える幅が広がったようです。
2・5速は「加速タイプ」になりましたが
こちらも「ええカンジ」の加速になったようです。
心配していた2>3速のつながりの悪さも
気になるほどではなかったようでS社長も大満足!

今まで3速だとフケきるのでシブシブ4速に入れていた
(でも入れただけですぐにブレーキングだった)
ショートストレートが3速のまま引っ張れるようになって
その後のタイトコーナーも2速でグングン加速するようです。

なんといっても1秒以上タイムアップして当店走行会の
タイムランキングでとうとうトップに躍り出ました。
乗った時のフィーリングの良さだけでなく
結果が出たものですから大喜びも当然ですよね。

今回はアキュラのミッションとの組み合わせでしたが、
国内用との組み合わせだと 1・2速がメチャクチャ加速タイプになりますから 
4.4ファイナルのほうがバランスがいいかもしれません。
ジムカーナやミニサーキットでは威力を発揮しそうですけどね。

追記

その後ノーマルの国内クーペ4.6ファイナルの組付け作業をしました。
結果として、フィーリングは思ったほど悪くない!
S社長の車はエンジンもいじってあって
けっこうレスポンスがいいものですから
クーペのギア比に4.6だとキツイかなと思っていました。

ところが吸排気系程度のチューニングレベルの車だと
以外と4.6ファイナルでもイケルじゃんってかんじでした。
エンジンの吹け上がりがもっさりしていても
4.6ファイナルのおかげで加速は激変!
街中でかなりキビキビ走れます。
ただ高速では試乗していないのですが
5速巡航では高回転キープが必要になるでしょうね。
反面、巡航状態からシフトダウンをしなくても加速ができるようにはなるでしょう。

エンジンノーマルの国内クーペの場合で
高速での燃費や騒音を気にするのであれば4.6ファイナルは

高速の快適性よりも街中でのキビキビさや
山道での走りを重視するのなら
ってかんじですかね。

 

さらに追記!(2006.7.14)

オイルを替えてみました。
今まで使用していたオイルは当店が常時在庫している
80W−90のギアオイルでした。
価格が安いのに性能がイイもんですから
車種問わずでこのオイルを使っているんです。

リッターあたり¥1260なんですけど
サーキット走行でも問題ないし、ジムカーナ車両の
「バキバキ」デフに入れても全然OKなんですよ!

NSXの場合80W−90の粘度だと冬場がちょっときついようです。
S社長のNSXはサーキット専用だからそうでも無いんだけど
一般の人だとシフトの入りがシブくなるようです。

そこで今回OS技研さんから発売前のオイルを特別に分けていただきました。
このオイルはGTレースとかで使われている物をベースに
OS技研さんがミッション用として開発中の商品だそうです。

 

発売前の商品ですのでラベルも貼られていません。
テープに「FF」と書いて貼ってあるだけです。
いかにも「特別品」ってかんじでワクワクします!

 

色はちょっと赤みがかっています。
粘度はかなりサラサラですね。
(80W−90と比べれば当然でしょうけど・・・)
これなら冬場のシフトチェンジも問題ないでしょう。
ベースがGTカー用ですからサーキットも心配ないし・・・

先日の走行会でテスト走行するはずだったのですが
ちょっとワケあってNSXは持って行かなかったので
インプレッションは次回の走行会で!!