NSX C30A ハイコンプ チューニング作業の紹介です。

★C30A ハイコンプチューン★ 
組付け編

一通り加工も終わって、いよいよ組付けです。
ただ単に組付けるのではなく
メタル合わせ等の調整をやりながらの
組付けになります。
まずはクランクメタル(親メタル)の
クリアランス調整です。
元々のクリアランスが狭かったようなので
少し広めになるように、新しいメタルのサイズを
選んでセットします。





プラスチゲージを適当な長さにカットして
ジャーナルの上に載せます。





クランクキャップを取り付けて
規定トルクで締め付けます。
ジャーナルのクリアランス測定は4ヶ所とも一度にできます。
この時、クランクシャフトを回してしまわないように
気をつけて作業をします。





クランクキャップを取り外して
つぶれたプラスチゲージの幅でクリアランスを確認します。
測定は最も幅広くつぶれている部分でやります。
測った数値をもとにクリアランスが4ヶ所とも
合うようにメタルのサイズを選んでやります。
メタルを交換したら再度プラスチゲージで
クリアランスを測定します。
メタルには厚みの違いをカラーペイントで
識別できるようにしてあります。
この識別色を見ると、元々のクリアランスは
けっこう狭かったようです。





つぶれたプラスチゲージの幅は
ゲージが入っていた袋に印刷された
スケールで測るのですが・・・
この数値がけっこうアバウトなんです。
0.038mmの次がいきなり0.051mmになっています。
NSXのメタルは0.004mmとびに設定されているのに
これじゃああんまりにも・・・





そこで自分でスケールを作ってみました。
標準のスケールの数値でグラフを作って
細かい幅ごとの数値を出しました。
最初はノギスでゲージの幅を測って、グラフに
あてはめていたのですが、とっても測りにくい!
そこで、あらかじめ必要な数値を記した
スケールを自作。(紙を塗り分けただけの物ですが・・・)
これで作業効率は大幅アップです。

コンロッドメタル(子メタル)も同じように
測定・調整してやるのですが、こちらは親メタルと
違って1本1本やらないといけません。
しかも6本あるので、親メタルよりたいへんです。

この作業で親メタル・子メタルともに
各気筒間の誤差は0.002mmになりました。





クランクシャフトとピストンを本組みします。
この後、ヘッドを仮組みしてさらに測定です。





と、言いますのも今回はピストンが変わっているので
ピストンヘッドがブロック上面より、これぐらい
飛び出してしまいます。
インテークバルブをサイズアップしてあるので
ピストンとバルブの干渉があるかもしれません。
そこでピストンのリセス部分に粘土を付けて
ヘッドを仮組みし、クリアランスを確認します。

この時普通に組んでしまったのでは、カムがLow側に
しかならず、本当のクリアランスが測れません。
リフト量の多いHigh側になるように、ロッカーアームに
細工を施してやりました。
この細工でカムはHigh側固定になり、本来の
クリアランスが測定できます。





粘土をカッター等でカットしてやって
断面でクリアランスを確認してやります。
結果はといいますと。
ピストンとバルブのクリアランスは
2mm以上あったのでOKでしょう。





いよいよヘッドも本組みにはいります。
ブロックの上面をきれいに脱脂してやります。





ヘッドの下面も脱脂します。
それにしても燃焼室もバルブもピカピカで
とってもキレイです。
このまま組んで、見えなくなるのが惜しい・・・





純正より圧縮比があがるので、ヘッドガスケットは
ノーマル品ではなく、メタルガスケットをチョイス。
メタルガスケットはノーマルのアスベスト品に比べて
高い圧力には強いものの、密着性が悪いので
オイル漏れや水漏れ等の原因になることがあります。
今回はブロック上面とヘッド下面を、面出しの
修正面研してあるので安心です。





ヘッドを載せて固定します。





二つのヘッドが無事、固定完了です。





続いてロッカーアームを取り付けます。
仮組みの時にした細工を元通りに戻しておかないと
あとで大変な事になっちゃいます。





次はカムの固定です。
ロッカーアームのアジャストスクリューを
緩めておくと、余分な力がかからないので
作業がラクになります。





オイルシールも忘れずに取り付け。
もちろん新品に交換です。
再使用してオイル漏れなんてことになったら
後々がとってもたいへんですからね。





一体になっているカムキャップを固定します。
ボルトの数がメチャクチャ多いので
締める順番を間違わないようにしないと・・・
直6なんかの長いカムだと、変な締め付けを
するとカムが折れてしまうこともあるらしいからね。





タイミングベルトは強化品に交換です。
これは戸田レーシングさんの商品です。
パワーも上がることですし、ノーマルの新品に
するよりは何倍も安心感がありますね。





ベルトがプーリーにかかると
こんな感じです。





戸田レーシングのロゴも入っていて
とってもかっこいい!
でも全部組んだら見えないんだけどね。





バルブクリアランスの調整をします。
NSXは調整用のアジャストスクリューが、ヘッドの
奥の方にあるので作業が面倒なんです。
専用のSSTがないと、うまく調整できません。
今回はエンジンが降りた状態だったのでマシなんですが
車上で調整するのは手が届きにくいので苦労します。

調整をしたことが無いっていうオーナーが多いので
初期型ではけっこうタペット音が出ている場合があります。
もし今までメンテナンスフリー?で乗っているなら
一度調整するのをオススメします。
かなり静かになりますよ。
当店では純正の基準値に合わせるのでは無く
スペシャルデータに合わせてやります。
高回転での吹けが違います。
(ほんのちょびっとだけですが・・・)





タペットカバーやサージタンク等を取り付けて
組付け完了です。





反対側からはこんな感じ。
あとは補機類を取り付けて載せていきます。