32GT-Rにリビルトエンジンを載せ換えした作業の紹介です。

★32GT-R リビルトエンジン載せ換え★

32GT-Rのエンジン修理の見積もり依頼が来ました。
なんでも冷却水にオイルが混じっているとか。
ガスケット抜けが濃厚ですが、最悪はヘッドの歪みも・・・

どうせヘッドを降ろすことになるんですから
ついでにオーバーホールまでという話になるのは当然の流れ。

でもヘッドを降ろしただけですと
腰下は手付かずのままになっちゃいます。
ところが腰下までオーバーホールするとなると
すンごい金額になってしまいます。

オーナーさんとしては中途半端なオーバーホールで
そのまま乗るのは気に入らないようです。
まあ、32GT-Rと言えば名車ですから、その気持ちはよくわかります。

中古で買ってまだ間がないようで
これから長く乗り続けたいそうなんです。
話を聞いてみるとチューニングとかにはあまり興味は無いらしい。

それならば、と言うことでリビルトエンジンをお勧めしました。
リビルトっていうのは専門のメーカーが、
中古のエンジンをオーバーホールして売っている物なんです。
もちろん消耗部品は全て新品に交換されていますし
クリアランス等もちゃんと加工して調整されています。

言ってみればほぼ新品エンジンに近い状態なんですよね。
しかもウチでエンジンを降ろしてオーバーホールするより
はるかに安くついちゃいます。

もしウチでやるとなったら、降ろしたエンジンの状態によっては
ヘッドの面研(これは必須でしたね・・・)や
シリンダーのボーリングとかも必要になってきますし・・・

チューニングを考えている人だったら
ついでにピストンを変えてとかいった方向もありますが
ノーマルで乗りたいって人には余計な出費ですよね〜。
安くあがるリビルトがベストマッチです。

ということでさっそくリビルトエンジンを注文!
何とメーカーに在庫がありました。
やはりオーバーホールをするとなると高額になるので
リビルトエンジンの需要が高いんでしょうね。

ちなみに後日インテRのB18Cを確認したら
どこのメーカーにも在庫はありませんでした・・・
しかも金額はGT-Rとほとんど変わらない!
それだったら普通にオーバーホールしても同じぐらいの金額です。

部品代や加工代の関係でGT−Rよりは
はるかに安くオーバーホールのできるエンジンだから
リビルトの需要は少ないんでしょうね〜。






 

入荷したリビルトエンジンです。
頑丈な木枠で梱包されています。

なにしろRB26DETTですから、かなり重い!
運送屋さんのトラックから降ろすのに苦労しました。
ウチにはフォークリフトなんてありませんし、
人力で降ろすのはとても無理ですし・・・
(軽四のエンジンならいけるかもしれませんが)

当初はエンジンクレーンで吊り上げるつもりだったのですが
トラックの荷台が高すぎて到底無理!
そこでまず軽トラの荷台の荷台に下ろして
(これぐらいの高低差なら人力でもOK)
次にリフトを軽トラの荷台の高さに合わせてから移動。
そしてやっとエンジンクレーンで吊り上げました。






 

木枠の梱包を解いてエンジンとご対面!
オーバーホールをする前にきっちりと洗浄されていますので
再使用しているヘッドなんかもとってもキレイ。
リビルトのメーカーって大型の洗浄機があるので
すごくキレイに洗えるんですよね。
ウチではいつも洗浄に苦労していると言うのに・・・






 

古いエンジンを降ろす作業に取り掛かります。
配管やら補機類をバンバン外してっと。








で、エンジンが降りました。





 

リビルト品はエンジン本体だけですので
マニホールド等の補機類は古いエンジンから
移植してやらないとダメなんです。

これがけっこう手間が掛かるんですよね〜。





 

補機類が剥ぎ取られた古いエンジン。
長い間お疲れ様でした。
リフレッシュして第2の人生を送ってね〜〜! 

さあ、剥ぎ取った補機類のチェックに取り掛かります。
今回は水廻り・フューエル・オイル・バキュームのホースは
全交換する予定であらかじめ段取りしています。

年式・走行距離を考えると
「それ以外にもある程度はトラブルがあるだろうな〜」
とは予想していたのですが・・・






 

おお〜〜っと、インジェクターの先っぽが割れています。
しかも6本中4本も・・・
この部分はプラスチックなので、カチてしまったんでしょうね。






 

 どうりでマニホールドに燃料漏れのような形跡があったわけだ・・・
先っぽ部分をゴムのリングに差し込んで固定する方法なので
ココが割れたりしているとインジェクターから
噴射されたガソリンが漏れてきちゃうんですよね〜。

アブナイ、アブナイ!

ところが、あろうことかウチに中古のインジェクターがあったんです!
まあ、何とラッキーなお客さんですこと・・・






 

お次は水廻りのパイピング。
ホースの差し込まれる部分が「これでもかっ!!」
ってぐらいにサビてました。

せっかくホースを新品にするんだからとサビ落としをしていたら・・・
「ありゃりゃあ〜〜、穴が開いてるじゃねえかよ〜!」
当然ながら新品に交換です。

他にも怪しそうなところはあったのですが
致命的でない部分には目をつむることに・・・
なにしろすでにけっこうな金額になってるもんですから。
まあ、後から換えることの出来る部品でもありますんでね。






 

当然ながらガスケットも新品です。







ホース類は全て新品にしたのですが
このエンジンってホースがけっこう多いんですよね〜。
パーツリストとにらめっこしながらの装着です。








タービンも再使用。
どうやらシャフトにガタは出ていないようで一安心。
これでタービンがアウトだったら・・・・
そりゃもう大変です。






 

タイミングベルトやウォーターポンプは新品が組まれていますので、
カバーやクランクプーリーを移植します。







新しいエンジンが車に載っかりました。
ここからさらに補機類をバンバン取り付けていきます。。






 

今回ラジエターホースとヒーターホスは
SAMCOに交換しました。
ブルーのホースがかっちょいいですね〜!






 

ラジエターも新品にしました。
付いていた物がちょっと怪しかったので・・・
サーキット走行とかはしないんでアルミ製までは必要ありません。






 

オイルや冷却水を入れてエンジン始動!
エンジンを温めてエア抜きをします。
このエンジンはエアが抜けにくいって噂がありますんで、
念入りにやっておきました。

以上でリビルトエンジンへの載せ換えが完了です!!
内部はオーバーホールされていますし、
ホース類も新品になっていますんで当分は安心ですね。






 

降ろしたエンジンは元のように梱包して、
メーカーに送り返します。
同じように再生されてまたどこかのGT−Rに積まれるんでしょうね。

今回はさほどヒドイ状態では無かったので問題ありませんが、
エンジンブローなどでブロックやヘッドのダメージが大きい場合には
追加料金が発生する事がありますので注意が必要です。



オーバーホールというとどうしても大掛りになりますが
それでも4気筒エンジンではそこそこの金額で収まります。
ところがGT−Rともなると普通のオーバーホールでも
かなりの高額になってしまいます。
チューニングを希望されない方はリビルトが安上がりですね!