アテンザのM/C後にボルトオンターボを装着した作業の紹介です。

★アテンザM/C後 ボルトオンターボ装着★

アテンザワゴンに乗っているお客さんから相談が。
「エンジンをパワーアップして速くしたいんですけど・・・」
2.3Lの排気量に6速ミッションというスポーティーな
車なんですが、しょせんはNA車。
胸のすくような加速はしてくれないようです。

チューニングの定番であるマフラー交換や
ラムエアーのエアクリなんかは既に装着済なんですが・・・
NAエンジンの悲しさというか、宿命というか
 レスポンスはよくなっても、パワーアップには
あまり結びついてはくれないんですよねえ。

そこで今回は思い切ってボルトオンターボを組むことに!
トラストからアテンザ用のターボキットが発売されているんですが
このキットは
マイナー前専用となっているんです。
純正のCPU等も変更になっているようですし
その他の部分もどこが変わっているのか、正確なデータがなく
装着可能なのかがわからないんですよねえ・・・

トラストさんに聞いても「マイナー後には取付けしていないので
付くかどうかはわかりません。
」との答え・・・
う〜ん、こりゃ困ったゾ!
キットを取り寄せたけど付きませんでしたじゃ
返品もできなくなるし、どうしましょ?

で、あれこれ調べてみたところ・・・
変更点がけっこうあるんですよねえ。
純正CPUはカプラーの形状から変わってますんで
キット付属のe-manageの接続は説明書通りにはいかないし。
スロットルがワイヤー式からFBW方式に変わってるから
内部データもそのままじゃダメそうですし・・・

配管関係もけっこう変更されているようですねえ。
一通り変更点のポイントを洗い出した結果
「若干の加工をすればなんとかなるでしょう!」
と言うことでGOサインとなりました。





まずはノーマルのEXマニを外します。
この車は最近主流になっている「後方排気」です。
バルクヘッドとエンジンの間にあるので
作業が大変かと思っていましたが
以外とスペースは広かったですね。





キットのメインとなるタービンです。
けっこうデカイですねえ〜!
メーカーの設定ブーストが0.5k程度だし
ヘッドガスケットなども交換しない仕様なので
もっと小ぶりなタービンを想像していたのでちょっとビックリです。





タービンにEXマニ・Fパイプを仮組みして純正と比べてみました。
当然ですがレイアウトはガラリと変わります。





EXマニが外れてスペースがあるうちに
遮熱処理をしておきます。
これがけっこう手間がかかるんですよねえ〜〜。





ホースやらパイプやらに加えて、マスターシリンダーや
オルタネーターなどにしっかりと遮熱材を貼り付けます。
でもまあ、FDに比べればかわいいもんですけど・・・





EXマニもバンデージでグルグル巻きに!
元々タービンの熱の影響を考慮されていない車ですから
気を使わないとトラブルに繋がっちゃいますからねえ。





EXマニをヘッドに固定してやります。
もちろんガスケットは新品交換しておきます。





タービン潤滑用のオイルラインはエレメントブロックから
分岐させて取り出します。
ただこれがINマニ側の下の方にあるので
ホースはかなりの長さになっています。

この車はエレメントがカートリッジタイプじゃないので
油温計のセンサーをつけるアダプターが装着できません。
できれば油温の管理はきっちりしてやりたいので
この辺は後日対策をすることになるでしょうね。

 



タービン本体にオイルリターンホースや
パイプフランジなどを取付けます。
ホースは材質がゴムですから遮熱を忘れずに!

 



タービンをEXマニに固定します。
車に装着するとよけいにデカさが目立ちます!

 



インタークーラーへのパイピングは
下に向けて配管されます。

 



ドレンボルトをキット付属のユニオンに交換して
リターンホースを繋ぎます。

 



サクションパイプもアルミ製になっています。
ステーの位置などはマイナー前用なのでこの車には合いません。
このあたりはちょこっとした加工で問題解決!

 



データ変更が必要になるので現車合わせは必須です。
セッティングの時に欠かせないA/F計センサー用のボスを
あらかじめフロントパイプに溶接しておきます。

 



で、フロントパイプもバンデージでグルグル巻きに!
 

 



フロントパイプを装着するとそれらしくなってきましたね〜。 
「GReddy」のロゴが雰囲気をだしてますが
残念ながらこの後遮熱板で隠れてしまいます。

 



タービンのEXハウジングとフロントパイプの
フランジ部に遮熱板を取り付けます。
一番多く熱を発生する部分ですから必需品ですよね。

 



説明書ではオイルラインはバルクヘッド側を
取り回すようになっていたのですが
かなりキツキツでホースに無理な曲げが掛かってしまいます。
そこでエンジン側に変えてみると、こっちのほうが曲りがゆるやかでした。
これもマイナー前後の違いなんでしょうかねえ。

 



続いてインタークーラーの取付けです。
まずはバンパーを外します。

 



インタークーラーを固定してパイピングを配管します。
タービンに合わせてなのかインタークーラーも
けっこうデカイですね〜〜。

 



パイピングはフレームのすき間を縫うように取り回します。
パイプ長はやや長くなってしまいますが
最短ルートにしようとすれば
大幅な加工が必要になってきますからね。

 



設計段階でパイピングの取り回しには苦労したんでしょうね。
後付けパーツですからしょうがないことですけど・・・ 

 



バンパーを付けるとこんなかんじ。
この車はバンパーがマツダスピード製に変わっていましたが
ノーマルバンパーだとインタークーラーの逃げ加工が必要のようです。
バンパー越しでもインタークーラーのデカさがわかります。
かなり目立ってかっちょい〜〜!

 



インジェクターもキットの物に交換します。
NA用のインジェクターだと容量が足りませんからね。
燃料不足は即エンジンブローにつながりますので
当然と言えば当然なんですけど・・・

 



エンジンカバーを付けて完成です。
エアクリも専用品に交換してあります。
元々装着していたラムエアーも高かったんで勿体無いけど・・・

 



燃調は付属の「e-manege Ultimate」でセッティング!
と言っても純正CPUが変更されているので
すんなりとは付かないんですけど・・・


キットに付属している取説の配線図はマイナー前用ですから
まったく使い物になりません。
しかも「e-manege」単独の取説は付属していないので
トラストさんからデータを送ってもらい
さらに修理書とにらめっこして何とか配線終了!


そして現車セッティングとなりました。
やはりマイナー前後のデータの違いからなのか
初期設定の変更が大変で、実走行に入るまでに
けっこう時間がかかりました。


実走行になってからも苦労の連続。
アクセルを開けるとリミッターが効いたような症状が出たり
ブーストが掛かっているのにトルク感が無かったりと・・・
しかし徐々にセッティングが決まってきはじめると
最初の印象からは激変してきました。

なんとメチャクチャ速いんですよ!
とりあえず1速はホイールスピンが激しすぎて踏めません。
2速もアクセルをガバッと開けると前に進みません!
そして3速からスゴ〜イ加速をしてくれます。

ブーストの立ち上がりもわりとレスポンス良く
フラットなトルクの出かたなので
上のギアでは「乗りやすくて速い!」といった印象ですね。
ホイールスピンもタイヤや足廻りをグレードアップしてやれば
抑えられるんじゃないかと思います。

この車はマフラーが変わっていたため
ブースト圧がトラストの設定値である0.5kを軽〜くオーバー。
燃調のセッティングは高いブーストまでしてやってるので
燃料不足の心配は無いのですが・・・

元々NAとして設計されているエンジンですし
ガスケットもノーマルのまま圧縮比を下げていません。
あまり高いブーストを掛けてしまうと
エンジンの強度が心配になってきますので
設定値の0.5kまでブーストを下げてやりました。

久々にボルトオンターボに乗りましたけど
昔のようなドッカンターボとはえらい違いですねえ。
まあ、わりと排気量のある車なんで
フラットな加速感になるのかもしれませんけど。
(昔はハチロクとかの小排気量車が多かったもんで・・・)

アテンザで速さを味わいたい人にはオススメの
チューニングだと思いますよ。
マイナー後でも対応できることが実証できましたし・・・
ただしリスクを最小限に抑えるためにも
補機類を含めた各部のグレードアップは必要になりますけどネ!