ジムニーのステアリングジャダー修理作業の紹介です。

★ジムニー ステアリングジャダー修理★




一部マニアの間では高い人気を維持しているジムニー!
しかしながら年式の古い車も増えてきていますので
それなりのメンテナンスも必要になってきています。







進化剤の施工もしている常連さんのクルマです。
オイル交換もマメにしているし、メンテにもそこそこお金を掛けてはいますが、
いかんせん年式がそれなりですのでアチコチにトラブルが・・・

今回の修理はステアリングのジャダーです。
わりとキレイな道を走っている時でもちょっとしたギャップとかがあると、
そこからステアリングがブルブルとブレだして止まらなくなるんだとか。
調べてみるとこの症状はこのクルマの持病のようです。

マニアックなオーナーが多いだけあって対策パーツも出ているんですね〜。

ステアリングジャダーストップキット!

なる物が発売されているんです。
価格もさほど高くないんで、とりあえずやってみようかということに・・・

ところがよくある話で
「どうせやるんなら・・・」って事になってしまいました。







キットは3種類のパーツで構成されています。
そのひとつがコレ!
ナックルにタイロッドエンドがはまりこんでいる部分の固定ナットです。
手前の純正ナットと比べると見るからに頑丈そうですね〜。
当然ながらネジ径は同じなんですが、工具を掛ける部分がサイズアップ!
さらにいわゆるフランジタイプのナットになっています。







タイロッドエンドのナックルにはまりこむ部分はテーパー状になっているんです。
ナットを頑丈な物に変更することで、大きなトルクで締められますから、
テーパー部が奥までキツクはまりこんで、ガタが無くなるっていう原理でしょうね。







ナックルやハブ廻りがバラバラになってます。
これが
「どうせやるなら・・・」の作業になります。
キットの装着だけでなく、ハブ廻りのベアリングも新品にする事になりました。
もしかしたらベアリングが原因で症状が出ているかもしれませんので、
完ぺきに直したいとのご要望でしたんでね。
しかし追加のほうが本来の作業より高くつくことになりましたけど・・・

じつはハブをバラす時に問題が発生してたんです。

それがコレ!   ↓







なんか変テコなナットですよね〜。
普通の工具では緩めることが出来ません。
今回はベアリングと一緒にこのナットも新品を取り寄せていたので、
「壊れてもイイや!」って感じでタガネでガンガン叩いて緩めました。
このナットがどこに付いているのかと言いますと・・・







番号が水色になっている#12の部分です。
ハブをスピンドルに固定しているナットなんですよ。
パーツリストの図だとわかりにくいかな?







そこで最近マイブーム(笑)の図解です。
先ほど
「ハブをスピンドルに固定」と書きましたが、
正確には
「ハブベアリングをスピンドルに固定」という構造になりますね。
さらに詳しく言うと
「ハブベアリングのインナーレースを・・・」って事ですが。
どちらにしても重要なパーツである事には変わりありません。

緩める時にはタガネでブッ叩きましたが、
締める時にはそうはいきませんよね。
そこで・・・







ディーラーさんから専用工具を借りてきました。
この工具の突起がナットの穴に嵌まり込むっていうかっこうですね。
これで一件落着となるはずが・・・

工具のサイズが合わない!!

2ヶ所のディーラーさんから合計4〜5個借りてきたんですが、
全てサイズが違ってました。
「このクルマの作業が入ったらどうするんだろう〜?」
って心配になりましたよ。
ディーラーが
「工具が無いんで出来ません」とは言えないでしょうにね〜。
結局ウチで工具を自作してなんとかなりましたけど・・・







工具の目途がついたところで作業の続きです。
まずは
ハブベアリングを新品に交換します。
外したベアリングは極端には傷んでいませんでした。
とは言え手で回してみるとそれなりの違和感は伝わってきます。







続いては
キングピンベアリング
こちらは見た目からしてすでにもう...
手で回すと
「ゴ〜リ、ゴ〜リ」って
逝っちゃってるベアリング特有の感触がありました。

このベアリングが付いている場所は・・・







ホーシングの両端がこんなボール状の形になっています。
このボールの上下に開いている穴にベアリングが嵌まります。
ではココでもご期待にお応えして!(笑







はい、図解です!

ホーシングのボール状の上下の穴に
キングピンベアリングのアウターレースがはまります。
インナーレースにはキングピンがささっていて、
これがナックルに固定されています。
つまりナックルはベアリングでホーシングから
フローティング構造になっているんですよね。
これによってハンドルをきった時にナックルが回転するようになっているんです。

この構造は今となってはジムニー特有の物ですね。
最近の乗用車はフロントにホーシングなんかありませんので、
こんな構造にはなっていません。
って言うかランクルとかの4WD車でも独立懸架ですもんね。
一般的なストラット車に置き換えると、
アッパーマウントのベアリングと ロアアーム先端のボールジョイントが
キングピンベアリングに相当する構造ですかね。







キットのふたつ目です。
キングピンベアリング用のシムです。
このシムを入れることでベアリングを押さえる力が強くなり、プリロードが掛ります。
一歩間違うとベアリングの寿命を縮めかねませんが・・・
なにしろ通常より強くベアリングを押さえつけるわけですからね〜。

ただ、このキットを使っているクルマは多いみたいですので、
問題があればすでに発売中止になっているでしょうね。

今回はキングピンも新品にしました。
再使用しても問題の無いパーツだとは思いましたが、念のため・・・







キットのパーツ最後はコレです。

ジャダーストップリング!

奥に写っているのがノーマルのリングです。
キット物のリングには透明の樹脂が付いているのがわかりますか?
ノーマルには付いていませんよね。







ココに装着されます。
先ほどの図解でナックルの内側に水色で書いていた部分です。
樹脂の厚みの分だけホーシングのボールに
ナックルを強く押し当てるようになってます。


こうしてみるとこのキットっていうのは
全て
「より強く押し付ける」プリロード系ですね。

・ナットを頑丈にしてタイロッドエンドのテーパーをナックルに強くはめこむ。

・シムを入れることでキングピンベアリングを強く押し付けてプリロードを掛ける。

・ナックルをホーシングに樹脂の厚み分強く押し付ける


と言うことになります。


つまり各部にプリロードを掛けてガタを無くし、
ジャダーを抑えるって事ですね。
ナット以外はベアリングを換えずに誤魔化すパーツのようにも思えますが・・・(笑

今回はちゃんとベアリングも換えてますんで、より効果は大きいでしょうね。
まあ、その分キットのみの装着よりかなりお高くなっていますけどね。







今回交換したパーツです。
そこそこの金額にはなりましたが、メンテナンスの一環だと思えば・・・
これでまた気持ちよく乗れるんならOKじゃないでしょうかね。


で、肝心の結果は・・・
バッチリ止まりましたよ!ジャダーが!!
「あれほどブレていたのがウソのよう・・・」なんだそうです。
キット装着とベアリング交換を同時にやったので、どちらが効いたのかは不明ですが、
おそらく相乗効果があったろうと思っています。


年式の古くなったクルマを永く乗るためにはそれなりのコストが掛ります。
しかしお気に入りの愛車を維持するためだと思えば・・・
ベテラン車のリフレッシュ作業なら得意としていますんで、お気軽にご相談ください!
なんせウチの店はスタッフの年式も古いもんで・・・(笑