FD3S クロスミッション 装着作業の紹介です。

★FD3S OS製3速クロス装着★


当店の常連さんであるニノさんのFDのミッションから異音が出だしました。
3速に入れた時にガラガラ音がするらしく、「このまま乗っていても
問題ないですかねえ?」との事なのでさっそく車をチェック!
ニュートラルの状態でシフトレバーを握り、3速の位置に軽く押し当てただけで
「ガラガラ」とスゴイ音が・・・
「こりゃ、ギアが逝ってますね。」という事でオーバーホール決定!
どうせやるならOS技研の3速クロスにしようということに・・・
どっちにしても3速ギアは交換しないとダメだからね。

ギア比の変化は下のようになります。
速  3.321 > 2.714
速  1.902 > 1.742
速  1.308 > 1.267

各ギアで7000rpmまで引っ張った場合を計算すると。
速   61Km >  75Km
速  107Km > 117Km
速  156Km > 161Km

シフトアップ時の回転落ちはというと。
1速>速  4009rpm > 4493rpm
速>速  4814rpm > 5091rpm
速>速  5352rpm > 5525rpm

ファイナルをノーマルの4.1から4.3に変更しようかという案も
あったのですが、トップスピードが落ちてしまうので今回は見送り。
まあ、補機類のチューニングでパワーが上がっている車なので、
4.1のファイナルのほうがしっくりくるのではないかとも思えます。

オーバーホールのほうは、ベアリングとシンクロリングは全て交換。
(どうせバラスんだから、ここはケチらないでいきました。)
1>2と3>4のハブセットも交換です。
部品が揃ったところで、作業開始!



まず、ミッションオイルを抜いたところで、
出てきました!! ギアのカケラです。
「やっぱりネ」という思いで作業再開。





FDにはミッションマウントという物が無く、代わりにデフキャリアから
パワープラントフレームなる物でつながっています。
この車は強化タイプの社外品に交換してあるので赤いですが、
ノーマル品は黒色です。





まず、ミッション側のナットを外します。
わりと太めのボルトが4本、ミッションからでています。





フレームはズラさないとダメなので、デフ側のナットも緩めます。
この時、ミッション側のナットを全て外してしまってると、
フレームがガクっと落ちてくるので、気をつけないと・・・





フレームがミッションから外れた状態です。
左右にも結構動くので、フレーム自体は取り外して
しまわなくても、ミッションは降ろせます。





他のボルト類や補機類も外して、ミッションを降ろします。




さあ、ここからが本番!
ミッション本体のバラシに取り掛かります。





気になるギアの状態を見るため、最初に底のフタを外しました。





欠けていたのはカウンターギアのほうでした。
う〜ん、これだけ欠けてたら音もでるよなあ!
ってカンジです。





リア側のケースを外して、メーターギア等のパーツを
順番に外していきます。
この辺は別に難しくも、面倒くさくもない作業です。





メインシャフトのベアリングはスナップリングで止まってます。
スナップリングを外せば、あとは手でスルスル〜っと・・・
ぬ・抜けない!!





しょうがないのでプーラーを使って抜く事になりました。
プーラーでいくと結構ユルイ。
圧入という程は固くなかったですねえ。
なんか中途半端な圧入具合といった感じですね。
他のベアリングもほとんどが同じような具合でした。





純正を全てバラした状態です。
カウンターシャフトとメインシャフトをケースから抜く時に
ちょっと苦労しました。(いわゆる知恵の輪状態。)





欠けているカウンターシャフトの3速ギアです。





さあ、OSのクロスミッションの登場です。
発泡ウレタンに包まれた状態で箱に入ってきます。
OSの製品はツインプレート等の他の商品も発泡ウレタンに
包まれた状態で入荷してきます。
運送中の事故に気を使っているんですねえ。
本当はギアも一つずつビニールに包まれているんですが、
見えやすいようにむいでいます。





カウンターギアはシャフトとギア部が分割式になっています。
噛み合いにはスプラインではなく、ギア式を採用しています。
そのおかげでシャフトはギア内部にスーっとはいります。
純正のカウンターギア(シャフトと一体物)を抜く時
苦労させられたので、これはイイ感じですね。
先にギアをケース内に入れておいて、後からシャフトを
差し込めばいいんですからとってもラクです。





シャフトとギアが噛み合うとこんな感じです。





カウンターシャフトの純正品との比較です。
上が純正で下がOSです。
左側から「カウンターギア」・「3速」・「2速」・「1速」の順です。
1・2・3速のギアはOSのほうが歯と歯の間隔が広く、
歯数が少なめになっています。
そのため歯1枚あたりの肉厚が太く、強度的に有利に
なっていると思われます。
写真ではわかりにくいですが、ギア比が変わるので
外径は大きくなっています。
カウンターギアはノーマルのインプットシャフトに噛み合うので
純正と同じ形をしたギアです。
「5速」と「リバース」のギアは右側にある
スプライン部分に付くようになります。
FR車は基本的に「4速」は直結になるため、
「4速ギア」は存在しません。





メインシャフト側の「1速」ギアです。
左が純正品で右がOSです。
こちらのほうも純正より歯の間隔が広く、
歯の厚みが太くなっています。





ギアの外径差はこんな感じです。
純正品と比べてけっこう小さくなります。
1速が一番大きくギア比が変わるので、ギアの外径も
最も差が大きくなっています。





次は「2速」ギアです。
作りは1速と同じですね。





1速に比べて差が少ないとはいえ、純正品とは明らかに
大きさが違いますね。





続いて「3速」ギアです。





歯と歯の間隔の違いが一番よくわかります。





各ギアを組み込んだメインシャフトをケースにセットした状態です。
ベアリング・シンクロリング・ハブスリーブ等の交換部品は
新品部品に交換済です。
「5−R」のスリーブまでは交換することはないだろうと思い
点検したうえで再使用しました。





インプットシャフトのベアリングも交換します。
やはり半圧入といった感じで、プレスにかけると
「スッスッ」という手ごたえで入っていきます。
でも、プレス無しだと固くて入りません。





そしてスナップリングで固定します。





カウンターギアもセットした状態です。
純正品にくらべてメチャクチャ簡単にセットできました。





角度を変えてみるとこんな感じです。
ギアやスリーブの位置関係がよくわかります。





「5速ギア」や「リバースギア」等をくみこんで復元完了!
さあ、あとは載っけるだけです。





今回交換により取り外した部品です。
カウンターシャフトと3つのギアはOS品に交換。
他の部品も純正の新品に交換しました。





予算の関係でクラッチは触らない予定だったのですが・・・
マツダスピードのツインプレートが装着されているのですが
最近つながりがけっこうキツくなってきたらしい。
オーナーは「見て見ぬふりをしてね。」と言っていましたけど、
すぐに又降ろすことになったら寂しいのでチェックすることに。





案の定、ディスクは磨耗の限界まできてました。
このまま載せていたら3ヶ月後にまたまたミッション降ろしを
しないといけないハメになるところでした。





カバーのプレッシャープレートもけっこう焼けていて
あまりいい状態ではないのですが、こっちはもう目をつむって・・・
結局ディスクを2枚とも交換することで終了です。





さあ、本体をミッションジャッキで持ち上げて、
復元作業開始です。
FDはエンジンマウントがエンジンの後方についているので
ミッション脱着の時にエンジンが前かがみになって
とってもやりにくいんです。
ジャッキ等でエンジンの前方を持ち上げて、後に傾けてから
ミッションをはめ込むようにしてやります。





本体が固定できたら、取り外した補機類をとりつけて
やっと完成です。

あとはオーナーさんのインプレッションが楽しみです。
強度も上がったことだし、これで心置きなく全開できますね。
サーキットを走ってみないと最終的な評価はできないでしょうが、
ギアのつながりはかなり良くなっているようです。
ちなみに街乗りでは1速でのスタートがちょっとキツイらしいです。
やっぱり?・・・