AE86の純正セルモーター強化作業の紹介です。

★純正セルモーター強化★

前回「50端子」への配線を引きなおして
「カチッカチッ」といったバッテリーあがりのような
症状は出なくなったのですが・・・
ノーマルより圧縮比が高くなっている関係で
あいかわらずセルの回りは重い状態が続いていました。
エンジンの仕様は、92後期ピストン・TRDメタルガスケット
ヘッド面研無しといったところなのですが
この程度でもノーマルセルモーターにはキツイようです。
キーをひねると「クウ〜、クウ〜、クッ、クッ、クッ」といった
感じで、やっとエンジンを回しているような状態です。
(同じ症状で悩んでいる人にしかわからない表現かも?)
「そろそろリダクションタイプのセルモーターに
交換しないとダメかなあ」と思いはじめました。
最後の悪あがきで軽くオーバーホールをしてみようかと
セルを外したところで大発見!
「なんで今まで気が付かなかったのだろう?」
この作業でセルモーターは生まれ変わります!





ボロハチ1号はバッテリーからの直電流を
純正コードに加えて、4ゲージの極太コードで強化してあります。
もちろんアーシングもセル固定ボルトに直接しています。
これだけやっていてもセルの回りは重いんです。





写真のセルモーターはハチロクの物ではありません。
実際に作業をした時はここまで効果が大きいとは
思わなかったので、写真を撮っていませんでした。
これはAW11のセルモーターですが、ハチロク用と構造は
同じなので作業の内容は一緒になります。
バッテリーからの電流はいったんマグネットスイッチに
入ってから、本体に流れる仕組みになっています。
つまりマグネットスイッチがリレーの役目を
しているんです。
マグネットスイッチまでは常に12Vがきているのですが
本体へは、キーをひねってマグネットスイッチが
ONになった時にだけ流れるようになります。





で、オーバーホールの時に気付いたのがこの線です。
これはマグネットスイッチからセル本体に
電流を流すためのコードです。
いくらバッテリーからマグネットスイッチまでの
コードを太くしても、ここが細いままだと意味無いんじゃない?
長さが短いとはいえ、バッテリーからのコードに
比べるとあまりにも細すぎ!
そこでこのコードを太くしてみることに・・・





ナットをゆるめるとコードは簡単に外れます。
コネクター等は付いておらず、銅線をクルッと輪っかに
してあるだけの単純な形です。
銅線には被覆もありません。
熱で溶けてしまうからなのかどうかはわかりませんけど。





続いてマグネットスイッチを外します。
マグネットスイッチの先の部分が、スターター内部で
ピニオン用のレバーにひっかっかているので
真っ直ぐ引っ張ったのでは抜けません。





エンドカバーを外すとブラシホルダーが出てきます。
ホルダーはヨークとつながっているので、一緒に外します。
ブラシの磨耗具合を点検して、接触面をきれいにしておきます。





アーマチュアコイルのブラシが接触する部分も
かなり汚いので、きれいに清掃してやります。
ここが虫食い状態でヒドイ場合には、素直にそのまま
組み直して、リビルト品を注文したほうがいいでしょう。





コードに付いているゴムのグロメットを外します。
このグロメットはあとで加工を施します。





強化する為のコードは何用でもいいのですが
オーディオ用の物が細い線がたくさん撚りあわせてあるので
電流の流れがいいのではないでしょうか。
今回は当店でウーハー用に使っているコードを
使用しました。(14ゲージ相当)
コードの太さとしては、純正の倍になるぐらいの
太さが適当だと思います。
巻きつけると二重になりますので、その時の太さですから
お間違えの無いように!
あまり太くしすぎると後で大変なことになりますので。





15センチぐらいの長さにカットして、2本のコードを
裂いて1本にします。(1本しか使いません)
被覆をむいで銅線だけにします。
細めのスピーカーコードを2・3本まとめて使っても
問題はありません。





コードの真ん中あたりで輪っかを作ります。
ノーマルコードの輪っかとだいたい同じぐらいに。





輪っかの部分を合わせて、ノーマルコードに
巻きつけていきます。
この時、輪っかにボルトを差し込んでおくと
位置が変わらず、穴の径もそのままになるので便利です。
すき間ができないようにきつめに巻いていきます。





余分な部分をカットして、ブラシホルダーに
ハンダ付けしてやります。
はがれたりすると大変なので、しっかりと付けます。





先ほど外したグロメットは穴が小さくて、太くなったコードが
通らなくなりました。
そこで穴を拡大してやります。





ここが重要なポイントです。
キチンと真ん中になるように拡大します。
コードがセルモーターのボディやカバーに
接触すると車輌火災にもなりかねないので
切りすぎないよう慎重に!
コードを太くしすぎているとここで苦労するはめに。
コードはすでにハンダ付けしてあるから変えるのは大変ですよ〜。





グロメットを装着したら、接触しそうなところが無いか
充分に確認してやります。





あとは元通り組付けるだけです。
セル本体から出たコードは若干曲がった形で
マグネットスイッチにいきますので、芯線が細いオーディオ用
コードが柔らかく、取り回しやすいです。





ナットを締め付ける時にコードの位置が動きますので
ボディとの接触がないように気をつけます。
以上で作業終了です。

オーバーホールのついでにやった作業だったので
さほど期待はしていなかったのですが・・・
セルモーターを装着してキーをひねった時には
わが耳を疑いました!
その日の朝までは「クウ〜、クウ〜、クッ、クッ、クッ」と
苦しげに回っていたセルモーターが
「シュルルルル〜〜ン」と軽やかに回ったのです。
「エッ、ウソッ!」と思い、一度エンジンを止めて
再度キーをひねると・・・
やはり「シュルルルル〜〜ン」
思わず涙がこぼれそうに。(ちょっとおおげさ)
これで毎朝の心臓に悪い儀式ともオサラバです。
まるでノーマルエンジンのようなかかり具合です。
もしかしたらノーマルよりも軽やかかも。

ハチロクに限らず、リダクションではないノーマルタイプの
セルモーターならどれでもいけるはずです。
旧車にはリダクションじゃないセルモーターの車が
多いのでけっこう使える方法だと思います。
リビルト品にこの加工をしてやればいう事なしですね!
「自分でするのはちょっと不安。」という方は、セルモーターを
当店まで送っていただければ、加工をいたします。
もちろんリビルト品を当店にて段取りしての
加工もOKですよ。
ただしブラシ等の耐久性に関しては保証はいたしません。
テスト車輌のボロハチ1号は、走行距離がメチャクチャ少ない
もんですから、耐久性のデータがありません!(キッパリ!)
それでもいいからやってみたいという方は
一度お問い合せください。
もちろん自分でやってみるという方のクレームも
一切受け付けませんので・・・