AE86 ファイナルギア交換作業の紹介です。

★ファイナルを4.778に変更★


最近TIサーキット専用になってるボロハチ1号。
数年前からデフのウナリ音が出ていたんです。じつは・・・
どうせ街乗りはあんまりしないんだからと、
クロスミッション装着とファイナルを変更することに。
過去にリングギアが欠けていて音が出ていたことが
あったので、修理の意味合いもかねての作業です。
ベアリングも新品になるし、歯あたりも調整しなおすから
「これで異音ともおさらばじゃ。」と軽いノリで決めました。
ギア比の選定はクロスのギア比も考慮して
「4.778」に決定!
「4.556」とどちらにしようか悩んだんですが、
TRDの3速クロスと組み合わせた時に2速が
純正とほぼ同等になるという点で「4.778」にしました。

部品を段取りして作業開始といきごんだところで、
いきなり大問題発生!
そのせいで作業中の写真を全く撮っていませんでした。
取り外した部品の写真のみで内容を説明します。

ホーシングからキャリアを外すまでは何の問題も無く
すんなりと作業は進みました。
いつもは苦労するドラシャの抜き取りも、
今回は自作のプーラーを使ったのでラクラクでした。

キャリアが降りたところでコンパニオンフランジを外し、
オイルスリンガを取ろうとしたところ・・・
「は、外れない!!」
「なんでじゃ〜!」と思いながらよく見ると、
どうやらインナーレースに固着しているようです。

さらにスリンガの廻りの隙間からベアリングをみると、
なんと、ベアリングのローラーを位置決めするための
鉄板(名前がわかりません。)が、切れてズレたようで
ローラーに噛みこんでいました。
そのため異常に熱がでたと思われ、スリンガは
インナーレースに焼きついたようです。
何が原因でそうなったのかは不明です。





これが無理やり外したスリンガです。
力任せにこじって外したので折れちゃいました。
本来、内径はもっと小さいのですが、インナーレースに
焼きついていた部分が無くなっています。





インナーレースのアップです。
焼きついたスリンガのカケラが見事に残っています。

スリンガは外れたのですが、ここからが大変でした。
なにしろスリンガが焼きついているぐらいですから、
インナーレースもピニオンシャフトに焼きばめ状態です。
修理書に載っているSSTのプーラーなんかじゃ、
とうてい抜けそうにありません。





キャリアをバイス台にセットして、シャフトを叩いても
ビクともしません。
どうせ交換するからと思い切って叩いたのですが、
(シャフトの頭がこんなにツブれるぐらい・・・)
全然ダメでした。
プレスを使ってもダメ、インナーレースをバーナーで
炙りながら叩いてもダメ・・・

「もうこりゃ、キャリアを替えるしかないな。」とあきらめ、
中古品を段取りしました。
入荷が翌日になるということだったので、再び元のキャリアを
いじくっていたら名案が!!
「そうだ、インナーレースごと抜けないかな?」





まずはインナーレースの一部を削って、ローラーを
一個一個取り出すことに。
すでにベアリングはガタガタだったので、シャフトを
片側に寄せておいてリュターで削りました。
その穴からマグネットドライバーでローラーを抜きました。





ローラーが無くなったのでもうシャフトは
ガッコンガッコン動きます。
でもインナーレースの外周のほうが、アウターレースの
内径より大きいので抜けてはきません。
そこでこんどはインナーレースの外周を削ります。
さっきより寄せ幅が取れるようになったので、
リューターもらくに入りました。
外周を半分ちょっと削ったところで、無事に
抜けてくれました。
ここまでの作業で5時間以上。
ほっと一息です。





リングギアの点検です。
歯の欠けは全くありません。
全体的にキレイなもんでした。
歯あたりは「トー当り」になっていたような痕が付いていますが、
なにしろベアリングがあの状態でしたので、ピニオンが
まともに当っていたとは考えにくいですね。





ピニオンギアにも何ら異常はありませんでした。
どうやらウナリ音の原因はピニオンシャフトの
ベアリングだけだったようです。





今回交換した部品です。
外すのにこんなに手間が掛かるとは思ってもいませんでした。

この後新品パーツを使って組み込みました。
本当なら一番時間が掛かる歯あたりの調整ですが、
なんと一発で決まりました。
どうやら神様がここまでの苦労を見ていたようですねえ。
突き出し量調整用のワッシャは1個とびに、6枚用意して
いたのですがとりあえず真中あたりで、と選んだヤツが
ドンピシャだったわけです。

今回はLSDのイニシャルアップも同時にやりました。
ノンオーバーホールでかなりの期間乗っていたので、
さぞかしイニシャルは落ちているだろうと思っていましたが。
なんとまだ5Kgもありました。
LSDをバラしたところ、プレートはとってもキレイ。
そこでO/Hキットは使わないで、シムを増やして
イニシャルを上げてやりました。
新品のプレートを使うと初期のナジミが出た時に
イニシャルがけっこう下がるようです。
プレートが傷んでいないなら、シムだけで調整した
ほうがいいようですね。
ちなみに今回は10Kgに設定しました。

ファイナル変更後のインプレッションですが、
まずはノーマルミッション時。
あきらかに加速がいいです。
1・2速では吹けきりが早いですが、加速感が段違い!
もちろん3・4速でもかなりの加速感!!
エンジンがかなりパワーアップしたのかと思うくらい
違いが大きいです。
へたにエンジンをイジるより、こっちのほうが効果的かも?

クロスミッション装着後のインプレッションは
「TRD3速クロス装着編」でどうぞ。