AE86 温まるとセルが回らないトラブル解決法の紹介です。

★「温まるとセルが回らない」解決法★

電装系は古い車の泣き所です。
ハチロクも例外ではなく、いろんなところにトラブルが発生します。

中でも困るのは「セルモーター」(スターターのことです。)が
回らなくなるトラブルです。
けっこうこの症状で悩んでいるハチロクオーナーは
多いのではないでしょうか。

朝一番の冷えている時はすんなりかかるのに
エンジンが温まってくるとセルが回らなくなるんです。
コンビニやガソリンスタンドでうっかりエンジンを
止めてしまうと、さあたいへん!
冷えるまで待つか、押しがけしないとかかりません。

特徴としてはバッテリーがあがった時と同じような感じで
「カチッカチッ」という音だけで、セルが回ろうとしません。
この症状が頻発しはじめると、朝も「かかるかな〜」と
祈りながらキーをひねるようになるので
あまり気持ちのいいものではありません。

どうやらこの症状の原因はセルに接続されている
配線の不良のようです。
そこで純正の配線を外して、リレーを使って
バッテリーから直電流を流してやります。

ボロハチ1号は作業途中の写真を撮っていなかったので
後日作業をした車との2台分の写真で紹介します。







ボロハチ1号はセルの固定ボルトに
アーシングをしてあります。







プラス電源も純正コードに追加で、4ゲージの
極太線で強化してあります。
これだけやっていてもセルが回らなくなります。







セルモーターはセル本体の上にマグネットスイッチと
いう物が付いています。
親亀の背中にのった小亀のようなヤツがマグネットスイッチです。

マグネットスイッチはピニオンギアを動かす役目と
電流をセル本体に流すリレーの役目を同時に行っています。
このリレー部分がへたってきているのも
原因のひとつだとは思うのですが・・・

残念ながらマグネットスイッチはケースがカシメて
あるので、素人はバラさないほうが無難ですね。







マグネットスイッチにはバッテリーからの太いコードと
(ナットの付いていないボルト部につながります。)
「50端子」というコネクターにも配線が接続されています。

この「50端子」はキーをひねった時に電流が
流れてマグネットスイッチをONの状態にします。
これがけっこう電流を必要とするみたいで
作動電流を流すだけにしてはコードは太めです。

セルモーターを動かす大電流をスイッチングするのだから
当然なのかもしれませんが・・・
今回はこのコードを引きなおしてやります。







これが「50端子」につながっていたコネクターです。
セルはエキマニの真下にありますので
配線も熱の影響を受けやすくなります。
おそらく熱や経年変化によってコード自体の
電流の流れが悪くなるのではないかと思います。

サビなんかもけっこうきているんではないでしょうか。
流れが悪くなって少ししか電流が来ないのに
エンジンが温まって、エキマニからの熱がモロに
マグネットスイッチを襲うのでダウンするのでしょう。







一般的にホーンリレーとして売られているような
4極のリレーであればなんでもOKですが、
ある程度の余裕がある物がいいでしょう。

今回はオーディオ用のリレーを使いました。
パワーアンプにバッテリーから電源を引くためのリレーですから
容量的には十分だと思います。







50端子に繋がっているカプラーは普通の1極カプラーとは
若干形状が異なっています。
材質も耐熱を考慮してある可能性がありますので
純正を外して再使用してやります。

耐熱チューブも純正を外して使いました。
中の端子も普通のファストン端子ではありません。
こちらは再使用ができませんので同形状の新品を使用しました。







コードは純正の配線に沿わせて固定すればOKです。
耐熱の事を考えると純正の配線を一度引っ張り出して
ノーマルの50端子用コードを抜き取り
新しいコードを通してやるのがBESTでしょうね。

ボロハチ1号は純正コードにインシュロックで束ねましたけど
この車は純正風に仕上げてみました。
これなら熱の影響も最小限ですみますね。







配線を元通り引きなおして50端子を接続します。
ノーマルの50端子のコードを抜き取ってありますので
ボロハチ1号に比べてすっきりまとまっています。







リレーの電源コードをバッテリーのプラスに繋ぎます。
もちろんヒューズを入れていますよ。







リレーの作動電源はこのカプラーから取ります。
このカプラーはバッテリーの下の方にあります。
バッテリーのプラス端子に繋がっている太いコードを
たどっていけばすぐにわかると思います。

このコードは50端子に繋がっている配線です。
配線がヘタってマグネットスイッチを動かすことはできなくても
リレーを作動させるぐらいの少電流は流れるでしょう。







ここもカプラーは純正品を再使用しました。
ノーマルの50端子コードは今回取り外しましたので
このカプラーも余ることになりますからね。







で、カプラーを接続。
これで配線は終了です。
余ったコードは熱のかからないところに束ねておきます。







リレー自体は防水タイプではありませんが
水がバシャバシャ掛かるところでなければ大丈夫でしょう。
リレーと一緒にアース線も忘れずに!







念のため防水用として、4極カプラーの中に
グリスを詰めておきます。
この後絶縁テープを巻いておけばバッチリです。

これでエンジンが温まってもセルが回らなくなるという症状は
まったく出なくなりました。
ただ、圧縮比がノーマルより上げてあるので
セルの回りは重いままですけど。
次はこの点を改良してみます。

参考までにリレーの回路図を載せてみました。↓







@はバッテリーのプラス端子に接続。
Aはセルモーターの「50端子」に接続。
Bはキーをひねった時に電源がきている線に接続 。

今回Bはノーマル50端子のカプラーからとりましたが
他の場所でも接続は可能です。
室内の左サイドカウル内にあるコネクターにも
キーシリンダーからの「ST1」信号が来ているようです。

確実性を求めるなら室内に配線を引っ張って
キーシリンダーからとってやるのがいいでしょうね。
ただし作業の手間が増えますけどね・・・



*追記*

ダイオードでの保護について