エアコンシステム内部はなぜジメジメするのか?



雑菌やカビが繁殖するには湿気が必要なんです。
そのため常にジメジメしている
エアコン内部は
ヤツラにとっては天国なんです。

では、何故エアコン内部はジメジメするんでしょう?
まずはエアコンが作動するシステムからご説明します。

 

エアコンの作動システムの図解です。
ガスの状態別に配管を色分けしてあります。


まずガスはコンプレッサーで高圧に圧縮されます。
加圧されると高温の半液化状態になります。
その状態でコンデンサーに送られたガスは、
走行風やファンの風で冷却されることで完全に液化します。
真夏の渋滞などでエアコンの効きが悪くなるのは、
この時の冷却が不十分になり液化のレベルが落ちるからです。

液化したガスは室内のシステムに送られます。
車内を冷却するのはエバポレーターという部品になります。
このエバポレーターの直前にあるのが、
エキスパンションバルブ(通称エキパン)です。

エキパンが液化したガスを一気にエバポ内部に噴出し、
ガスを気化させるんです。
つまりエアコンは気化熱を使って冷やしているんです。

エバポはラジエターと同じような構造になっています。
ラジエターはチューブの内部を冷却水が流れており、
チューブに付いているフィンに風を通過させて冷却します。

エバポは冷却水の代わりにガスがチューブ内部を流れます。
そのガスは気化熱で低温になっていますので、
チューブとフィンも低温になります。
そこにブロアファンからの風を通過させて冷やすわけです。
ラジエターとは反対の原理ですね。

気化したガスは再びコンプレッサーに送られ、
この作動を繰り返すことになります。
家庭用のエアコンも基本的なシステムは同じです。
コンプレッサーとコンデンサー部分がいわゆる室外機ですね。


で、ジメジメの本題に入ります。

ガスが流れているエバポは常に低温になっています。
室内の空気には水分が含まれており、
エバポを空気が通過する時にその水分が凝固し水になるんです。
そのためエバポを通過した空気は除湿されているわけです。

窓ガラスが曇った時にエアコンを入れると曇りが取れるのは、
この除湿された空気が出てくるからなんですよね。

なんで低温のエバポを通過することで、
空気中の水分が凝固するのかは各自でググっていただくとして・・・(笑
簡単に言えば氷を入れたグラスをテーブルに置いておくと、
グラスが結露しますよね。
あれと同じ現象ということです。

エバポでは常に水が発生していますので、
パイプを付けてシステム内部から車外へ排出しています。
エアコンを掛けているとエンジンルーム後部あたりから
ポタポタと水が垂れていますよね。
これがシステム内部から排出された水なんです。

でもエバポで発生した水は全て排出できるわけではありません。
クルマを停めてエンジンを切ると
ブロアファンからの風も止まります。
すると直前まで発生していた水はエバポに付着したままで、
自然乾燥を待つことになります。

またエバポは樹脂のケースに収められていますが、
このケースの内面も水分が残ったままになるんです。
そしてこの水分はダクトの内部にもジワジワ広がるんですよね。
で、雑菌やカビの天国となるわけです。

最近のクルマにはエアコンフィルターが装備されているので、
外気導入でのホコリや雑菌の元はエバポに届きにくくなりました。
それでも排水パイプは直接車外に繋がっていますし、
ファンが止まれば車内の空気が逆流することもあります。
雑菌の侵入経路はいっぱいあるんです。
空気中にはたくさんの雑菌が潜んでいますからね。

EVIDISを施工してもジメジメが解消するわけではありません。
現在システム内部にいる雑菌やカビを一掃することで、
今後ジメジメしても繁殖を抑えることが出来るんです。
繁殖する環境が整っていても、
元となる雑菌がいなければ繁殖できないってことです。


効果は半永久的ではありませんので
梅雨時期などエアコンの使用頻度が増える前の
定期的な施工をお勧めします。